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『バカと無知 人間、この不都合な生きもの』のイメージイラスト(実際の表紙ではありません)

正義は快感だ。そして自分の無知だけは、自分から見えない。

イラストはイメージです(実際の表紙とは異なります)

思考・哲学

バカと無知 人間、この不都合な生きもの(新潮新書)

橘玲 ・ Kindle版

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ひとことで言うと作家・橘玲さんの新潮新書(2022年10月)です。正義の怒りが快感になる理由、自分の無知に気づけない仕組み、自尊心、偏見、記憶のあやしさを、心理学・脳科学・進化論で論じます。挑発的な主張が多く、反論を持ちながら読む本です。

INTROどんな本か

正義は、だいたい気持ちいい。

誰かの不祥事が流れてくる。みんなで叩く。叩いている側は、自分が正しいことをしていると思っている。この本は、その気持ちよさに名前をつけるところから始まります。

著者は作家の橘玲さん。『週刊新潮』の連載(2021年8月〜22年6月)に加筆し、付論を2編加えた新書で、2022年10月の刊行です。帯には「『言ってはいけない』から6年」。正義の快感、バカと無知、自尊心、差別と偏見、記憶。5つのPARTで、人間の「不都合な」癖を順に突いていきます。

芯は一つです。人間の脳は、幸福より生存を優先して進化した。だから違反者を罰すると報酬系が動き、否定されると痛みとして処理し、記憶は思い出すたびに作り直す。愚かさは、個人の欠陥じゃない。脳の仕様だ、という話です。

俺が「46歳の思考整理」で書いたことと、ここは重なります。正しさの追求は、気づくと支配の欲求に変わる。分析が正確な人ほど、他人もその通りに動くべきだと思い込みやすい。本書のあとがきはさらに踏み込んで、知能の目的は自己正当化だから、賢い人ほど陰謀論から抜けにくい、と言い切ります。

頭がいいから大丈夫、ではない。むしろ逆です。

先に断っておくと、議論の分かれる主張がかなり多い。人種や性差、トラウマ・PTSD、投票、教育は、研究者や当事者から強い批判もある分野です。まえがきでは、2022年の安倍元首相銃撃事件の容疑者を「物語」に支配される人間の例として論じていますが、これも著者の推測です。

だから俺は、この本を無条件には勧めません。2021年に「本に書いてあった」は幻だと書いた立場としては、この本に書いてあることも、反論を持ちながら読むのがちょうどいいと思っています。

それでも読む価値はある。効くのは、炎上やネットの正義感にモヤモヤしている人。会議や評価の仕組みを、人間の癖から組み直したい人。読み終わると、他人の「バカ」より先に、自分の頭の点検に目が向きます。

賛成するための本じゃない。自分の中の警報器の鳴り方を知るための本です。

CHAPTERS章ごとの中身

まえがき孤立すると、人の物語は歪む

入口は重いです。2022年の安倍元首相銃撃事件の容疑者を手がかりに、人が「物語」に支配される仕組みを論じるところから始まります。

補助線は、脳のデフォルトモード・ネットワーク。2001年に神経学者のレイクルが見つけた回路で、ぼんやりしている間も、過去と未来のシミュレーションを回し続けている。後悔や反省、希望や絶望の土台になるものです。

そのシミュレーションを束ねる主役として「わたし」が要る。だから人は誰でも「自伝的記憶」の主人公になる、と著者は説明します。ただし物語には、物理(金と時間)と社会(他者)という制約がつく。他者を失った孤立状態では、その制約が効かなくなって、物語が歪む。

容疑者は、2008年の秋葉原事件の犯人や、2019年の映画『ジョーカー』の主人公と重ねられます。絶対的な孤独の中で、自分を純粋な被害者、教団と関わった元首相を絶対悪とする物語に入り込んだのではないか。これは著者の推測で、事件の事実認定をする本ではありません。

この入口で、本の読み方が決まると思う。ここから先は全部、著者の見立てだ。その前提を最初に置いているのは、むしろ誠実です。

PART I脳は誤報の多い火災報知器

1章の比喩が、本全体の鍵になります。誤報は多いが確実に鳴る火災報知器と、快適だが万一のとき致命的な報知器。進化が選んだのは前者だった。幸福より生存を優先して、脳を高感度の警報器に作った、という話です。

だから、殺人は1950年代から減っているのに、体感治安は悪化する。最大150人ほどの集団で暮らした祖先にとって、排除は死を意味した。人間関係のもめごとに、いまも過剰に警報が鳴るのはそのせいだ、と。

米国の調査では、約3人に1人がハラスメント被害を訴える一方、加害を認めた人は0.05%でした。被害は過大に、加害は過小に見積もられやすい。この落差が、職場から国家間の歴史問題までこじらせる、と著者は言います。

2章は、他人の不倫になぜ腹が立つのか。30〜50人のバンドや150人規模の部族で暮らした進化史から、目立ちすぎず埋もれもしないために、報復を避けて相手を傷つける「噂話」が発達した(社会脳仮説)と説明します。集団維持の難題は抜け駆けとフリーライダーで、コロナ下の酒類提供やワクチン接種が例に出てきます。

脳科学の整理では、下位との比較で報酬系が、上位との比較で損失を感じる部位が働き、違反者を罰すると報酬系が活性化する。正義は快感で、だから現代最大の娯楽になった。耳が痛い話です。叩いている最中の自分が、いちばん正しい気がしているからです。

PART I公正世界信念とキャンセルの快感

3章は、勧善懲悪がシュメール神話以来の普遍的な物語だという話から入ります。人は「世界は公正であってほしい」という信念(公正世界信念)を持っていて、それが崩れると認知的不協和を解消しようとする。著者はその方法を4つに整理します。

加害者を袋叩きにする(キャンセル)。善悪をセットにする「相補的認知」で、金持ちは不幸、清貧は幸福と考える。被害者に非を見つける「犠牲者非難」。そして、長い目で帳尻が合うと考える「最終的公正信念」。最後のものだけは、研究では幸福度が高いとされています。

4章では、東京五輪開会式の直前に起きた関係者の辞任・解任や、米国の教授、IT企業社員、雑誌編集長の事例が並びます。背景は1960年代末からの世界的なリベラル化。著者はそれ自体を厚生を高めた「よいこと」としたうえで、「絶対的な正義」がデジタルタトゥーやSNSと結びついて、吊るし上げが過激化したと見ます。過去は永遠に許されないのか、基準は誰が決めるのか、という疑問も挙がる。

広がる理由は、匿名でノーコストの快感です。ステイタスには支配・成功・美徳の3つがあり、悪を叩けば誰でも道徳的ステイタスが手に入る。しかも叩いても何も解決しない。俺は、この本でいちばん現実に効く分析はここだと思っています。

PART II自分の無知には、自分で気づけない

5章の入口は、顔にレモン汁を塗れば防犯カメラに映らないと信じた、1995年ピッツバーグの銀行強盗。そこから、コーネル大のダニングとクルーガーの研究に進みます。

論理推論のテストで、下位25%の人は実際12点なのに、自己評価は68点。上位25%は86点なのに、74点と見積もった。他人の解答を見せると、上位は修正したが、下位は勘違いが広がった。解き方のヒントを与えると修正できた。問題は無知そのものより、自分の無知に気づけないこと。著者がそこに「私もあなたも」と付け足しているのが効いています。

7章はゴルトンの牛の体重当て。約800票の平均が専門家より正確だったと集合知を示したうえで、話し合いは独立した判断の集計とは別物だと指摘します。バーラミの実験では、2人1組で画面の円を判定させると、能力が同程度なら話し合いが有効だが、差があるとコイン投げより悪くなった。劣る側が相手の4割を下回ると、優秀な個人の判断より悪化します。

著者の私見は不穏で、話し合いは一定以上の能力の者だけで行う、無理なら優秀な個人に従う、というもの。ただ8章で、会話せず確信度(1〜5)だけを伝えると高い成績が出た、という追加実験が出てきます。原因は、会話に伴う「自尊心」だ、と。

能力の差より、面子の差が判断を壊す。俺は、不穏な私見よりこっちの結論を持ち帰りたい。

PART IISNSと読解力と投票率

9章は、発言が同列に並ぶSNSが陰謀論の温床になった、という話です。人は実績より自信で相手を信じ、まず信用する。小さな共同体なら嘘つきは評判で罰せられたので、それで合理的だった。けれど匿名SNSには、身分や学歴、所属組織のような信用の補いがない。対策として実名やマイナンバーとの紐づけまで挙げ、「隣の大国に似てくる」としつつ、挑発的に結びます。

11章は数字が具体的です。OECDのPIAAC(24カ国・地域の16〜65歳、約15.7万人、2011〜12年)で、日本は先進国1位。それでも、小5程度の読解(レベル3)に届かない人が27.7%、レベル4に届かない人は76.3%。メールで会議室予約を処理できる人は8.3%でした。申請書やマニュアルを書く側には、そのまま効く数字です。

12章が、いちばん反論の多いところだと思う。1票の価値はほぼゼロなので、有権者は情報を集めずに投票する「合理的無知」になる。著者はそこから、投票率は低いほどよいと逆説的に主張します。残る層は左右両極に偏る、という留保つきで。

俺は2021年に、選挙には行った方がいい、誰に入れるかより無関心にならないことが大事だ、と書いた側です。だからここは頷けない。ただ、反論するには相手の論理を知っておく必要がある。その意味で、読む価値はあります。

13章は、知能は正規分布し、教育で学力が大きく伸びるという考えは「神話」だ、という挑発から、ロンドンのタクシー運転手の海馬、DBS、tDCS、TMS、ADHD薬へ進みます。ここも反論の多い箇所なので、議論の入口として読むのがいい。

PART III自尊心は、評価を測るメーター

PART IIIの軸は、自尊心を「共同体での評価を測るメーター」と見る発想です。否定されると、脳はそれを痛みとして処理する。14章は、反論できない皇族への非難を「集団リンチ」と呼び、上方比較は損失、下方比較は報酬という見方で、「上級国民」批判や生活保護バッシングを説明します。

15章の人形テストは、1930年代以降の研究です。白人の子は3歳頃から黒人を否定的に見て、黒人の子も約半数が白人の人形を選んだ。著者は、子どもは「力」に惹かれ、社会の上下関係だけを読み取るのだと解釈します。7歳以降に偏見が消えるのではなく、隠し方を覚えるのだ、とも。16章では、3〜5歳の有利な側はシールを譲らず、「2対2」より「1対0」を好む結果が紹介されます。

18章は、教える側には耳が痛い。バウマイスターは2003年に約1.5万件の研究をレビューし、自尊心を育てても成績やキャリアは良くならないと結論しました。1999年の実験では、成績下位の学生に自尊心を高める励ましを送ると、かえって成績が落ちた。自尊心は努力への報酬で、先にもらうとがんばらなくなる、という説明です。

21〜22章は日本の話。日米中の大学生の調査では、表に出る自尊心は日本が最低だったのに、IATで測る潜在的な自尊心は日本が突出して高かった。そこで著者は、自尊心は高さより「安定度」が問題だと整理します。高く不安定なら他者を攻撃し、低く不安定なら抑うつに向かう。

23章「善意の名を借りたマウンティング」は、俺が「正解が早すぎる社会構造」で書いた話と、ほぼ同じ場所を見ています。ボルジャーとアマレルの実験(NYの女子大生)では、最も苦痛だったのは上から目線の露骨な助言で、下手に出た婉曲な支援が最も軽かった。正しい助言でも、届き方で人は消耗する。中身の問題じゃない。構造の問題です。

PART IVIATと「偏見をもつな」の反動

PART IVの主役はIAT(潜在連合テスト)です。グリーンワルドらが1998年に開発した、連想の速さの差で潜在的な偏見を数値化する手法で、採用や医療の場面での行動もある程度予測するといいます。リベラルな白人や黒人、同性愛者の権利活動家にも偏りが出るため、「誰もがレイシストになる」ことがIATが避けられる理由だ、と著者は推測します。

26章では、著者自身の結果も出てきます。ヨハネスブルグで治安への強い警戒を経験した後に日本語版IATを受けると、ジェンダーでは偏りがなく、人種では明確な偏りが出た。脳は生存に関わる経験から自動的に連合を学ぶので、結果は差別主義の証拠とも免罪符とも言えない、という立場です。「正義」で他人を責める前に、自分が受けるべきだ、とも書いています。

28章には、著者が「偏見のなかには正しいものもある」と踏み込む箇所があります。性差や人種差を社会構造だけで説明できるのか、という問いで、強く議論が分かれる見解です。ここは著者の見方の紹介として読むしかない。

29章はピグマリオン効果。ローゼンタールが1964年に、ランダムに選んだ児童を「伸びる」と教師に伝えると成績が上がったと報告しました。その後の追試では、効果は存在するが小さく、低学年・学期初め・教師が生徒をよく知らない場合に限られた。

34章は、研修を設計する側に効きます。マクリーらの実験では、偏見を抑えるよう促された学生は、直後こそ偏見が減るが、次の課題では対照群を上回り、座る椅子も遠くなった。35〜36章では、タジフェルの「最小条件集団」やオキシトシンの実験を引いて、共同体のあたたかさと排外性は内集団びいきの表裏だと論じます。偏見は、禁じても消えない。基準と手順を固定する方が筋がいい、というのがこの章から言えることです。

PART V〜あとがき記憶は思い出すたびに作り直される

PART Vは、1980年代の米国で、催眠やグループ療法で幼少期の虐待の「記憶」を回復し、親を訴える事件が多発した話から始まります。ロフタスの「ショッピングセンターの迷子」実験では、偽の思い出を渡された少年が細部まで「思い出し」、偽だと告げられても信じなかった。脳は記憶を保存せず、思い出すたびに作り直す、というのが著者の説明です。

39章では、性的虐待を受けた子の約3分の1は無症状で、単純な因果関係はないとする研究が紹介されます。付論2には、1980年代ワシントンDCの強姦事件で、被害者の確信ある証言で有罪となった男性が、7年後のDNA鑑定で無実と分かった例が出てくる。事前に見せられた容疑者の写真で、犯人の記憶が上書きされていた。イノセンス・プロジェクトは2022年までに375人の冤罪を明らかにした、という数字もあります。

付論1「PTSDをめぐる短い歴史」は、第一次大戦の「シェルショック」から始まり、PTSDの名はベトナム撤退後、フラッシュバックの報告は湾岸戦争以降だという流れをたどります。付論2は「性犯罪を見逃すな」と「冤罪を出すな」の衝突を正面から扱い、「症状」は事実として受け入れ、記憶の真偽は切り離す折衷案も示す。この分野は専門家や当事者から強い批判もあり、本書も当事者の経験を否定するものではない、と断っています。

あとがき(2022年9月)で、話は陰謀論に戻ってきます。陰謀論は異常ではない。他者の陰謀が最大の脅威だった進化史からみれば、自然な解釈だ。そして知能の目的は自己正当化なので、賢い人ほど抜けにくい。知識不足の問題ではない、と。

結びは自戒をこめて、人間の本性である「バカと無知の壁」に気づき、言動に注意する人が増えれば、少し生きやすくなる、とあります。他人を指さすための本に見えて、最後は自分に向く。俺がこの本を本棚に置いておく理由は、この終わり方にあります。

LESSONS明日から使える教訓

  1. 意見は、話し合う前に書かせる能力差のある場の話し合いは、判断を悪くしうる。先に各自が意見と確信度を書き出し、集計してから話す。会議の設計的にいうと、声の大きさより先に紙を集めろ、ということです。
  2. 指摘は、痛みとして届く前提で言う否定は、脳では痛みとして処理される。人前で否定せず、事実と人格を分け、相手の攻撃モードが解けてから話す。正論で何度も失敗してきた側として、俺はこれをいちばんに持ち帰りたい。
  3. 賢さを、免罪符にしない知能の目的は自己正当化だから、賢い人ほど陰謀論から抜けにくい、と著者は言う。自分の評価より、客観指標と多面評価を見る。頭がいいから大丈夫、がいちばん危ない。

CONCLUSION俺の結論

結論。誰かを叩きたくなったら、まずその気持ちよさを疑え。それは正義じゃなく、報酬系かもしれない。

そのうえで、会議では先に書いてから話す。指摘は事実と人格を分ける。自分の記憶ほど、確かだと思わない。明日からできるのは、たぶんこの三つです。

この本に全部賛成する必要はない。投票率の章のように、反論しながら読めばいい。ただ、自分の頭にも同じ警報器が付いていること。叩いている最中の自分が、いちばん正しい気がしていること。それだけは、持ち帰る価値があります。

NEWS関連ニュース

この本のテーマについて、最近話題になったニュースです。

秋田魁新報 ・

鳥取、SNS中傷対策条例施行へ 削除命令や5万円以下の過料新設

鳥取県は、SNSなどでの中傷や差別にあたる投稿に、知事が削除を要請し、従わなければ削除を命じられる改正条例を2026年1月25日に施行する。それでも従わない場合は、アカウント名などの公表や5万円以下の過料もありうる。県は、同様の条例がある県を把握しておらず、全国初の可能性があるとしている。

この本とのつながり:本書の「正義は最大の娯楽」で論じられる、匿名でノーコストの叩きの快感が、現実の制度対応を迫るところまで来ていることを示す動きです。

FOR YOUこんな人におすすめ

合わないかもしれない人:読んで安心したい人には向きません。論調は挑発的で、投票率や人種・性差、教育、トラウマについての主張には反論も多い分野です。

FAQよくある質問

『バカと無知』はどんな本ですか?

作家の橘玲さんによる2022年10月の新潮新書です。正義の快感、自分の無知に気づけない問題、自尊心、差別と偏見、記憶のあやしさを、心理学・脳科学・進化論から論じています。

ダニング=クルーガー効果とは何ですか?

能力の低い人ほど自分を過大評価し、高い人は過小評価する傾向のことです。論理推論で下位25%の人が、実際は12点なのに自己評価は68点だった、という研究が紹介されています。

「正義は最大の娯楽」とはどういう意味ですか?

進化した脳は、違反者を罰すると報酬系が活性化するようにできている、という説明です。そのため他人の不祥事を叩くことが快感になり、現代最大の娯楽になった、と著者は論じています。

本書が言う「合理的無知」とは何ですか?

1票の価値がほぼゼロなので、投票の判断材料を調べないほうが合理的になる、という考え方です。著者は「投票率は低いほどよい」と挑発しますが、反論の多い主張です。

本書の自尊心の見方は?

自尊心を、共同体での評価を測るメーターと捉えています。否定されると痛みとして処理されるので、指摘は相手に痛く届き、ほめて伸ばす方法も逆効果になりうる、という論じ方です。

「偏見をもつな」という教育は効果がないのですか?

著者は、偏見は誰にでもあり、禁じるだけの教育は反動を生みうると論じています。対策としては、採用や評価の基準と手順を固定してブレを抑える方向が挙がります。

本書の記憶についての主張は?

脳は記憶を保存せず、思い出すたびに作り直す、という主張です。1980年代米国の記憶回復療法による冤罪が例に挙がります。専門家や当事者から批判もある分野で、著者の見解として紹介しています。

書かれている内容は事実として受け取っていいですか?

本書は著者の見解と解釈の本で、一般的な事実として断定するものではありません。議論の分かれる主張が多いので、「著者はこう論じている」として読むのが無難です。

仕事で使える学びはありますか?

会議では先に各自が意見と確信度を出してから話す、指摘は事実と人格を分ける、申請書やマニュアルは短く分けて図を添える、といった点が挙がります。

『言ってはいけない』を読んでいなくても読めますか?

帯には「『言ってはいけない』から6年」とありますが、本書は5つのPARTで完結した構成です。前作を読んでいなくても、単独で読めます。

MONOGENIC伊丹谷のブログから

ご注意:人種や性差、トラウマ・PTSD、投票、教育についての記述は、研究者や当事者から強い批判もある分野で、著者の見解の紹介です。性被害やトラウマの当事者の経験を否定するものではありません。つらい気持ちのときは、専門の相談窓口に話してみてください。

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