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『中島らもの特選 明るい悩み相談室 その3 ニッポンの未来篇』のイメージイラスト(実際の表紙ではありません)

笑いの前に肯定がある。ふざける人ほど、黙りどころを知っている。

イラストはイメージです(実際の表紙とは異なります)

心・自己啓発

中島らもの特選 明るい悩み相談室 その3 ニッポンの未来篇(集英社文庫)

中島らも ・ Kindle版

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ひとことで言うと作家・中島らもさんが新聞の人生相談欄の回答から選んだ文庫3冊目、全70編。妙な癖や素朴な疑問は否定せずに笑いでずらし、自殺など重い相談ではふざけを抑えて本気で答えます。読み物としても、人の相談に乗るときの答え方の見本としても効く一冊です。

INTROどんな本か

「人生相談」と聞いて、何を想像します? だいたい説教か、当たり障りのない慰めですよね。この本は、そのどっちでもない。

作家の中島らもさんが、新聞の人生相談欄に書いた回答から選んだ文庫の3冊目。副題は「ニッポンの未来篇」で、全70編。まえがきも解説もなく、目次の次からいきなり相談が始まる。ほとんど放り出すような作りで、潔い。

相談の中身がまたすごい。他人の前世が気になる、線が怖い、箸でうどんを結んでしまう、世界中が吸血鬼になったらどうなるのか。相談者は全国の12〜58歳で、ペンネームがいちいち凝っている。いや、それ新聞に送るか?っていうのばっかりです。笑

で、らもさんの返しには一本の芯がある。悩みを否定しないこと。まず「同類はいる」「その理屈は通っている」と認めて、それからずらす。笑いの前に、肯定がある。

これは、俺が「正解が早すぎる社会構造」で書いた話と、ちょうど裏表の関係だと思う。人がしんどくなるのは、正論が間違っているからじゃない。整理がつく前に、答えが流れ込んでくるからだ。らもさんは、いきなり正解を出さない。先に相手の側に立って、それから話を横にずらしていく。世の中の助言とは、順番が逆なんです。

子どもへの答え方も、俺はかなり好きです。小四の息子が消費税の買い物算で悩んでいる、という親の相談に、非ユークリッド幾何まで持ち出して、「嘘」と「仮定」は違う、と大人と同じ論理で返す。俺は2021年に、学生の質問に正論で返して後悔した話を書いた。正しいことを言いながら、相手のワクワクまで潰さない答え方は、ちゃんとあるんですよね。

ただ、バカ話だけの本じゃない。自殺や性的指向をめぐる重い相談になると、空気が変わる。ふざけを抑えて、自分の言葉で止め、励ます。

あとがきによると、新聞社は10年間、一度も中身をチェックしなかった。だから、らもさんは自分で基準を作った。外から縛られないぶん、自分の中に線を引いたわけです。ふざけていい人は、黙るべきときを知っている人だ。

人の相談に乗る立場の人、部下や子どもに「なんで?」と聞かれることが多い人には、答え方の見本帳として効く。そうでなくても、自分の妙な癖が、少しだけ愛おしくなる。

人生相談の本というより、答え方の本。気楽に拾い読みして、芯だけ持って帰ってください。

CHAPTERS章ごとの中身

構成まえがきなし、全70編の相談と回答

「まえがきなし、全70編の相談と回答」のイメージイラスト

目次の直後から、いきなり本編です。まえがきも解説もない。1編ごとに、題、相談文(地名と凝ったペンネーム、年齢つき)、らもさんの回答がひとまとまりになっていて、それが70編。最後にあとがきと奥付が付きます。

題を並べるだけで、もう面白い。前半34編には、他人の前世が気になる、割り切れない、線が怖い、水の上を歩きたい。後半36編には、記録魔の夫、耳かきのプロ、橋を渡りたくなる、箸でうどんを結ぶ男、ご予約承り中の葬儀会館、タイ焼きにからむ客。最後の1編は「ウン」と「運」。入口からして、まともな相談がほとんどない。

電子版は2007年3月16日発行で、底本は集英社文庫の2002年11月25日第1刷。1編がひとまとまりで完結しているから、どこから開いてもいい。寝る前に数編ずつ、くらいの読み方がちょうどいいと思う。

前半妙な癖は病気にせず、型として名づける

「妙な癖は病気にせず、型として名づける」のイメージイラスト

いちばん数が多いのが、「私って変?」系の相談。ここでの基本の動きは、先に持ち上げることです。他人の前世が気になる人には、動物の4分類では単純すぎる、もっと奇妙な前世を考えるほうが豊かだ、と相談者の感覚のほうを褒める。で、最後は自分の前世を自虐にして落とす。

輪を乱したくなる「ハミダシヤロウ」には、「座を暗くする人」という一族がいる、と分類して実例まで出し、集団が浮かれすぎるのを止める役だ、と言い換える。「はらまき」という姓がいやだという相談には、危ない姓を並べたうえで、覚えやすい名前はむしろ得だとひっくり返し、珍名の夫婦の話で美談ふうに締める。病気として扱わずに、型として名前をつけてしまう。これがらもさんの得意技です。

「線恐怖症」の回は、わりと理屈で攻める。駅の白線の内側や信号の条件反射を例に、意識が作法になる仕組みを解説し、畳のへりを踏まない禁忌は忍者由来、という説まで持ち出して、最後は症状のほうを肯定するひねりを入れる。「イヤな思い出に打ち勝つには」は珍しい実用回で、自分も同じで思い出に名前まで付けていると明かし、ため息の代わりに囃子言葉を繰り返す知人のやり方を紹介します。

職業病の回もある。バイト先で連呼した「毎度あり」が口癖になった人には、眼科医の友人や、印刷営業時代の自分の見積もり癖を並べて、転職しても別の病が出る、と諦めの境地で返す。何でも叩いて音を鳴らす癖には、楽器好きの上司が宴席で取引上の大失態を起こした話で、早めに直せと警告する。笑わせながら、実害の話もちゃんとしている。

俺的には、「座を暗くする人」の回がいちばん効くと思う。欠点を消す前に、その欠点が場で何の役に立っているかを見る。マネジメントの理屈で聞くより、こっちのほうがよっぽど頭に残る。

前半素朴な疑問には、疑似科学で真顔のバカ話

「素朴な疑問には、疑似科学で真顔のバカ話」のイメージイラスト

「なぜ?」系への答えは、真顔のバカ話です。世界中が吸血鬼になったらどうなるか、という相談には、吸血鬼を感染症とみるSF小説を引いて、疫病は全滅させない、と疫学ふうに答え、細胞培養で血液を作る案まで出して、最後は自作の宣伝で落とす。いや、宣伝すな。

放送禁止用語の回は、ちょっと内情の話になる。基準は各局が持っている過去のトラブル事例集だと明かし、建前で存在を消される言葉の例を挙げて、言葉狩りをしながら弱者いじりの番組も作るテレビの二枚舌を皮肉る。電気邦楽器はなぜ無いのか、という質問には、昭和初期の電気三味線の記録と、寺内タケシが幼少期に三味線の調弦で電気ギターを試作した逸話を出して、エレキの源流は三味線だ、と話をひっくり返します。

ショッカーのような悪の組織はなぜセコいのか。これには、あれは劇場型犯罪で、目的は人を困らせる過程そのものだ、と分析して、日常の小さな迷惑行為と並べて社会風刺につなげる。ウナギやムカデに肩こりはあるのか、には即答したあと、ジョン・レノンとヨーコの四つんばい健康法や直立歩行原因説を挟んで、自分の飼っている魚の観察で締める。

「々」の正式な読みの回は、辞書を2冊調べて、読みのない日本独自の記号だと確かめる。字源を推理するけど行き詰まって、自作の珍読みを提案し、読者に答えを求めてしまう。音楽は音符の順列だから限界があるのでは、という相談には、長さの規定がない、平均律以外の音律がある、和声もリズムも音色もある、と反論しつつ、型の決まった音楽には当てはまると譲り、キンクスの自己盗作の逸話で洒落る。

中一以来十数年解けない一筆書き(図版つき)の回は、3時間かけても解けず、本気で怒るふりをして、解けない難問を他人に投げるな、と説教する。でも最後は、夢に見るまで考えれば答えは来る、という音楽家の逸話で励ます。ふざけているようで、考え抜くことへの敬意は本物です。ものを作る仕事なら、ここはまったく同じだと思う。

前半子どもの相談に、大人と同じ論理で答える

「子どもの相談に、大人と同じ論理で答える」のイメージイラスト

子どもや十代への答え方は、この本でいちばん好きなところです。小四の息子が消費税の買い物算で悩んでいる、という親の相談には、数学は「仮定」の上に立つもので、「嘘」と「仮定」は違う、と非ユークリッド幾何まで使って説明し、息子さんは真実を好む型だ、と保証する。子ども向けの方便は使わない。

おとぎ話の批評で娘と対立している母親の回では、母親のほうを支持する。子供の夢を壊すなという側こそ子供をなめている、と反論して、力道山のプロレスで虚構を学んだ世代の経験から、幻想を壊したあとに本当の夢がある、と論じる。曾祖父の明治言葉をまねる三歳の息子には、自作の方言まで作った方言好きとして、年寄りの本格的な方言は外国語に等しい、二か国語を覚えているのと同じだ、と前向きに返す。中三で老けて見える少年には、老け顔は長寿の証だと励ます。

小6の「好きな人の名はいえません」には、好きな子をいじめて嫌われた自分の失敗を明かしたうえで、相手の喜びを自分の喜びに、と優しく助言する。14歳の「おじさま」願望には、中年の当事者として、夢のおじさまなんて実在しない、と自虐まじりに描きつつ、倫理の線ははっきり引く。34歳の「水の上を歩きたい」には、自分も空中浮遊術を教わって訓練した、と同類告白して、超心理学の事例やリニアの原理まで動員し、大真面目に励ます。

光源氏にブルマー姿で会う妄想の相談では、モンティ・パイソンのコントなども引いて妄想をさらに膨らませ、退屈な授業の産物なんだから教科書の落書きで発散しろ、と勧める。相手が12歳でも34歳でも、温度が同じなんです。

俺が2021年に書いた、大人が好奇心を潰してはいけない、という話は、要するにこれ。正しさで返すんじゃなく、まず相手の問いに本気で乗っかる。乗っかったうえで、大人の論理をそのまま渡す。子どもをなめないって、たぶんこういうことだと思う。

後半家族や同僚の癖を、才能と商売に読み替える

「家族や同僚の癖を、才能と商売に読み替える」のイメージイラスト

後半に増えるのは、家族や同僚の困った癖です。記録魔の夫の回では、まず才能だと肯定して、夫婦でも価値観には踏み込むな、と添える。そのうえで雑学で格上げする。禁酒法の期間を細かく書き留めていた酒好き(小泉武夫『酒の話』)や、鹿児島・大口の神社で見つかった約400年前の大工の落書きが焼酎の存在の証拠になった話を出して、記録は後世の史料になる、と持ち上げる。

自分の妙な衝動の相談は、誰でもそうだと一般化して安心させてから、その癖を職業にする案に進むのが定番。耳かきのプロには駅の耳かきブース、箸でうどんを結ぶ人にはうどん屋への就職と新メニュー(手描きの図1・図2つき)、橋を渡りたくなる人には自宅の橋か公共の橋の寄付。架空の取材や客とのやりとりを寸劇で書いて、繁盛ぶりまで描いてしまう。

人間の光合成の回は、願いを科学的に詰めていくと滑稽な姿になる、という型。毛虫焼きの回は、「虫も殺さぬ」と「殺せぬ」の違いを言葉から突いて、季語が本性を解放したのだ、と読み替える。略語癖の同僚の回では、締めで自分も同じ癖を実演してみせる。落語で口達者な息子には、ある落語家の息子の幼いころの逸話を出して、その英才教育を続けよ、と背中を押す。

街の謎や目撃談の回は、探偵ごっこです。仮説をいくつか並べ、もっともらしい説から、スパイの暗号や国家規模の占いみたいな荒唐無稽な陰謀説へ、だんだん大きくしていく。L・ダレル『アレキサンドリア四重奏』のような文学で格調高く始めるのがミソで、途中で紙数が尽きたと投げ出すこともある。頭に物を乗せて歩くおばさんの回は、世界の頭上運搬、人類の進化、二宮金次郎まで動員して、変じゃない、と全面的にかばい、最後は会社員への提案に飛ぶ。

欠点を消さずに、使い道に変える。デザインや企画の仕事でいう言い換えを、らもさんは人の癖でやっている。企画会議の練習帳としても、そのまま使えます。

後半夢や運の相談と、学校・葬儀業界への批評

「夢や運の相談と、学校・葬儀業界への批評」のイメージイラスト

恐怖や夢の相談では、雑学から極端な対策へ飛ぶ。毎晩の痛い夢には、明晰夢や、夢で病を治す古代ギリシャのアスクレピオス信仰を説明してから、即物的な防御策を出す。地図帳恐怖症は、上空の眺めの疑似体験による高所恐怖の一種だと見立てて、アフリカ行きの機内での自分の体験を添え、段階的に慣らす訓練を提案する。

試験の夢は治らない、と断言するのも潔い。自分も今でも見る、と明かして、夢は今の自分を肯定する装置だ、と意味づける。吉凶を気にする相談には、幸せになれる方に解釈せよ、と実利で返し、同級生のお守りの毛の逸話で、こだわりの害を見せる。運がないという相談には、深夜の仕事部屋と翌日の取材にまつわる自分のひどい失敗談を明かして、修行が足りない、とずらす。

ふざけた回の中にも、批評がちゃんと入っています。60代のペンパルの回では、高齢者にも性欲はある、という現実を言う。冷たくなる教科書の語尾の回では、学校の本質は軍隊で、企業の即戦力を作る場だ、と指摘し、朝日新聞の校門圧死事件の特集に出た教員の発言を引く。

「ご予約承り中」の葬儀会館の回は、墓石・仏壇業界の売り方への批評です。この業界は死という言葉を避け、子の将来を持ち出して不安をあおる売り方をしている、と。らもさん自身が墓屋の広告を3年担当していた、という裏づけつき。前半の「家づくりの基本はお棺の出しやすさ」の回でも、建売広告で死が禁句だった経験から、死を織り込む設計に賛成している。広告の中にいた人の批評だから、重みが違う。

タイ焼きにからむ客の回は、決まり文句を言う客はいくらでもいるし、会社での定番の冗談はセクハラになりうる、と示したうえで、乗らずに事実を淡々と返せ、と助言する。笑いの回にも、明日から使える対処が入っている。

重い相談自殺と性的指向には、ふざけずに答える

「自殺と性的指向には、ふざけずに答える」のイメージイラスト

ここだけは、笑いが引っ込みます。飛び降り自殺をためらわせる方法を尋ねる相談に、らもさんは、自分も2度死にたくなったこと、止めたのは後始末を想像したからだったことを明かす。迷惑をかけない自殺などない。だから、やめよう。黒い笑いを少しだけ含みながら、はっきり止めている。

結局死ぬと思うと何もかもむなしい、と書いた16歳には、まず、テレビで子どもの問いを茶化した自分の過去を悔いるところから始める。そのうえで、DNA、種の存続、細胞の入れ替わりを使って、個は細胞で、人類は生き続ける、と説く。生きていてよかったと思う瞬間は必ず来る。だから今日はご飯を食べよう、と結ぶ。

男性を女性の目で見てしまう、という16歳の少年の相談もある。少年誌の定型回答は無責任だ、と批判し、同性愛は古代から衆道まで存在していて自然に反しない、と真面目に答える。偽って結婚して相手を不幸にするな、とも。この回に、ボケはひとつも入らない。

笑いの回で何を言っても許されるのは、黙るべきときに黙れる人だからだ。俺は、この本の信用はここで決まっていると思う。

この本には、自殺や性的指向をめぐる相談への回答が含まれます。つらい気持ちを抱えているときは、身近な人や、専門の相談窓口に話してみてください。

あとがき連載の経緯と、自分で作った掲載基準

「連載の経緯と、自分で作った掲載基準」のイメージイラスト

あとがきによると、十数年前、朝日新聞大阪本社の大上朝美氏が依頼に来た。らもさんはその半年前に同紙へエッセイを1本書いていて、そこから映画や演劇などのまじめな小コラムを担当していた。冗談半分に、ギャグの人生相談なら、と返し、深夜FM番組に届いたハガキで見本を作ったら、そのまま通ってしまったそうです。通すんかい。

それ以前は、『宝島』での奇妙な連載広告、深夜ラジオ、低予算のテレビコントなど、カウンターカルチャーの畑にいた。大新聞向けに作風を変えることはしなかった、と書いている。掲載は関東版、全国版へと広がっていく。

朝日は10年間、一度も中身をチェックしなかった。だから自分で基準を作った。作り話、生理的な不快、性差別は不可。下ネタは避ける。外から縛られないぶん、自分で線を引いたわけです。

投書の傾向の話も面白い。寒い地方はジョークが苦手、暖かい地方はアホが多い、中年女性は笑いをわかっている、少年少女は受け狙いで話を作る。選ぶ側の実感では、100通のうち半分がおならの話で、面白いのは1〜2通。答える側としては、質問が面白いほどまじめに考える。答える側がふざけるとコラムが崩れるから、と。

同性愛に悩む16歳に率直に答えたあと、大阪のゲイ団体から反応があってイベントに参加し、寺で講演したこともある、という後日談も出てくる。常連の投稿者が少ないのは、どの家にも変なことが一つはあるからだ、と見て、家での父親の油断を指摘し、少し引き締めよ、と添える。最後は18年間への謝辞で閉じます。

答える側がふざけたら、コラムは崩れる。この一言に、70編の作り方が全部入っていると思う。

LESSONS明日から使える教訓

  1. 正解を出す前に、相手の理屈を認めろ相談でもクレームでも、まず相手の理屈は通っていると認めてから話を始める。型どおりの慰めは、かえって無責任になる。正論はそのあとでいい。俺的には、答えの中身より順番のほうが、よっぽど大事だと思う。
  2. 妙な癖は、直す前に使い道を探せ座を暗くする人は場のブレーキ役、老け顔は長寿の証。否定するより、言い換えたほうが人は動く。クリエイティブ的にいうと、短所をそのまま売りに変えるのは、ブランディングの基本の動きと同じです。
  3. チェックがない場所ほど、自分で線を引け新聞社が10年間中身を見なかったから、らもさんは自分で基準を作った。作り話、生理的な不快、性差別は不可。自由にやれる人ほど、線は自分の中に要る。発信する仕事の人には、ここがいちばん効くはず。

CONCLUSION俺の結論

結論。人の相談に答えるとき、いきなり正解を出すな。まず「その理屈、通ってるで」と相手の側に立つ。ずらすのも、笑わせるのも、そのあとでいい。

そして、笑っていい話と、黙って本気で答える話を、自分の中で分けておく。誰も線を引いてくれない場所ほど、自分で引く。ふざけられる人の信用は、その線の引き方で決まる。

子どもの「なんで?」にも、部下の妙な相談にも、明日からこの順番で返してみる。この本は、そのための70回分の見本帳です。肩の力を抜いて、拾い読みでどうぞ。

NEWS関連ニュース

この本のテーマについて、最近話題になったニュースです。

尼崎市・あまがさき観光局(公式発表) ・

没後20年特別展「中島らも ぼくがうまれたまち」を開催します

中島らもの出身地である兵庫県尼崎市と、あまがさき観光局が、没後20年にあたる特別展を開くという発表です。会期は2024年12月7日から2025年1月19日までで、会場は尼崎市開明庁舎1階、入場は無料でした。自筆原稿や口述筆記原稿、当時の尼崎の街並みの写真パネルなどから、文筆家としての活動を紹介する内容でした。

この本とのつながり:本書の相談と回答は新聞連載がもとで、あとがきには連載のいきさつが出てきます。没後20年の展示は、その文章が今も読み継がれていることを示す動きです。

FOR YOUこんな人におすすめ

合わないかもしれない人:体系立った相談術の本や、解説つきの定番ガイドを求める人。この版にはまえがきも解説もなく、70編がただ並んでいるだけです。

FAQよくある質問

『明るい悩み相談室 その3』はどんな本ですか?

作家の中島らもさんが、新聞の人生相談欄の回答から選んだ文庫の3冊目です。相談と回答が1編ずつ、全70編とあとがきが入っています。

『明るい悩み相談室』は、どんな人に向いていますか?

肩の力を抜いて笑える読み物を探している人や、人の相談に乗る立場で答え方のヒントがほしい人に向いています。1編ずつ完結しているので、中島らもさんの文章を初めて読む人にも入りやすい構成です。

重い相談にもふざけて答えていますか?

いいえ。自殺や性的指向をめぐる相談では、ふざけを抑えて誠実に答えています。笑いの回答との緩急が、この本の特徴です。

相談者はどんな人たちですか?

全国の12〜58歳の人たちで、地名と年齢、凝ったペンネームがついています。子どもにも大人と同じ論理で答えているのが特徴です。

「リフレーミング」とは何ですか?どう使われていますか?

欠点や悩みを、別の見方で言い換えることです。本書では、座を暗くする人を場のブレーキ役と呼ぶ、老け顔を長寿の証とするなど、欠点を役割に言い換える回答が多く出てきます。

疑似科学を使って答えるのは、ふざけているだけですか?

素粒子、疫学、DNA、超心理学などを大真面目に使って、真剣に馬鹿をやる芸風です。オチは駄洒落や脱線が多く、人間の光合成の回のように、まじめに検討して破綻させる回もあります。

あとがきには何が書かれていますか?

朝日新聞大阪本社から依頼が来て、ギャグの人生相談なら、と返したら通った経緯が書かれています。10年間中身をチェックされなかったので自分で基準を作ったことや、投書は100通のうち面白いのが1〜2通という話も出てきます。

電子版の底本はいつの文庫ですか?

電子版は2007年3月の発行で、底本は集英社文庫の2002年11月版です。時事ネタは当時のものです。

解説やまえがきはありますか?

この版にはまえがきも解説もありません。目次の直後から相談と回答が始まり、最後にあとがきと奥付が付きます。

MONOGENIC伊丹谷のブログから

ご注意:本の中に、自殺や性的指向をめぐる相談への回答があります。つらい気持ちを抱えているときは、身近な人や専門の相談窓口に話してみてください。底本は2002年の文庫で、時事ネタは当時のものです。

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